英科学誌「NATURE」電子版に掲載

「コロナ制圧タスクフォース」の最新の共同研究成果が、2022年8月8日(英国時間)に英科学誌「NATURE」電子版に掲載されました。

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/8/9/28-126102/

「コロナ制圧タスクフォース」 COVID-19疾患感受性遺伝子DOCK2 の重症化機序を解明-アジア最大のバイオレポジトリーでCOVID-19の治療標的を発見-

2022/08/09
慶應義塾大学
東京医科歯科大学
大阪大学
東京大学医科学研究所
北里大学
京都大学
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)は、流行の始まりから2年経過した現在も社会の脅威であり続けています。これに立ち向かうため、2020年5月に感染症学、ウイルス学、分子遺伝学、ゲノム医学、計算科学、遺伝統計学を含む、異分野の専門家が集まり、共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」を立ち上げました。コロナ対応の最前線に立つ医療従事者からも大きな賛同を得て全国100以上の病院が参加し、2022年7月末時点で6,000人以上の患者さんのご協力で、アジア最大の生体試料数を持つ研究グループへと発展しました。

コロナ制圧タスクフォースは、このCOVID-19患者検体のゲノム解析を進め、アジアで初めてCOVID-19患者さんと健常者との遺伝子型を網羅的に比較する大規模ゲノムワイド関連解析を実施しました。その結果、免疫機能での重要な役割が知られる「Dedicator of cytokinesis 2(DOCK2 )」と呼ばれる遺伝子の領域の遺伝子多型(バリアント)が、65歳以下の非高齢者における重症化リスクと関連性を示すことを発見しました。また、RNA-seq解析、single cell RNA-seq解析一細胞解析、病理解析、細胞実験、動物実験による詳細な解析から、DOCK2 がCOVID-19の重症化のマーカーとなるだけでなく、COVID-19の治療標的となることを見出しました。これらの成果は今後の新しい治療戦略につながると考えられます。

本研究成果は、2022年8月8日(英国時間)に国際科学誌『Nature』オンライン版に掲載されました。コロナ制圧タスクフォースは、新型コロナウイルスと闘う患者さんや、医療従事者と共に、新型コロナウイルスの克服、そしてネクストパンデミックに備える社会の公器として、引き続き活動を続けていきます。